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社会問題化している空き家の所有者不明問題!税制面からの優遇措置をご紹介

1. はじめに

親の相続で取得した実家が遠方であったり、相続人がそもそも持ち家のため、その実家を利用することなく空き家になってしまっていることが多くなっています。

空き家になってしまった実家が、都市近郊で交通の便が良い地域などであれば、売却できる可能性もありますし、売却せずとも賃貸物件としての利用も見込めます。しかし、いざ都市近郊から離れてしまうと、管理が大変になり、未登記のまま所有者が不明になってしまうことが少なくありません。今回は、空き家に係る問題及び課税上の対応策について解説していきます

2. 空き家問題

空き家については、その多くが適切に管理がされていないため、次のような事態が起こる可能性があり、最悪のケースでは、近隣住民に迷惑がかかる可能性があります。

  • 老朽化による倒壊
  • 放火
  • 不審者による不法入居
  • 外観の悪化
  • 不法投棄

実際に近隣住民に被害が出た場合には、所有者が損害賠償を請求されるリスクがあり、さらに近隣の土地開発などの再開発事業や震災復興としての事業の進捗を遅らせたりと、所有者が不明になってしまった不動産への対応に、関心が集まっています。

3. 空き家問題の税制措置

このような空き家問題に対処するために、法改正を伴う各種色々な対策が講じられています。税制面でもその一環として税制措置が講じられており、次の3つの制度をご紹介します。

① 住宅用地の固定資産税等の特例の適用除外措置

固定資産税は不動産を所有していることに対してかかる税金ですが、税金の計算上、土地の上に住宅が建っている場合には、住宅用の用地として、土地面積の200㎡までは固定資産税の課税標準を最大5/6(都市計画税は最大2/3)相当額を減額することが出来るという大きな優遇措置があります。そのため、空き家を取り壊してしまうと、土地の上に住宅がない土地として評価されてしまい、土地を取り壊す前と比べて固定資産税等が約6倍に跳ね上がります。

このような優遇措置の適用により、空き家を取り壊さずに放置される傾向がありましたが、平成27年度税制改正により、一定の空き家に該当する場合については、この優遇措置の適用は受けられないことになりました。

② 空き家を売却した場合の譲渡所得の特別控除

被相続人が生前に1人で居住していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたもので、かつ、区分所有登記がされていないもの)や土地を、相続等により取得をした相続人が、空き家になってしまった家屋の耐震リフォームを行い売却する場合や、家屋を取り壊し、取り壊し後の土地を売却する場合には、マイフォームを売却した場合の優遇措置と同様に、譲渡所得の金額から特別控除として3,000万円をさしひいてくれるいわゆる空き家特例の制度が利用できます。ただし、次の要件を満たす場合があるので、空き家になって売却したらすべてに適用があるわけではないので注意が必要です。

  • 相続があった日後3年を経過する日の年の12月31日までに売却した場合
  • 売却代金が1億円以下等の一定の要件に該当する場合

③ 現在所有している人の申告の制度化

不動産登記簿等に土地又は家屋の所有者として登記されている個人が亡くなっている場合には、市区町村が、条例の定めるところにより、相続登記がされるまでの間において、相続により取得した相続人等に対し、通常は相続があることを知った日から3月を経過した日以後の日までに、住所・氏名等を市区町村の固定資産税の賦課徴収に関して必要な事項を申告させることが出来ることになりました。

4. まとめ

親の相続により実家を相続する人達の中には、当時の色々な思い出もあって、実家を手放したくないという方がいらっしゃいます。一方で、社会問題化している空き家の所有者不明問題の解決の一助になるよう税制面で後押ししていくことも重要かと思われます。

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