キーワード検索
< 一覧

上場株式を運用しておりますが、譲渡損失を繰り越すための申告を失念しておりました。遡って修正することで繰越控除を適用することはできますか?

回答

譲渡損失が生じた年の期限後申告書とともに、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」、「申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除用)」を提出すれば、繰越控除の適用を受けることが出来ます。

ただし、以下の場合には、適用が出来ないため注意が必要です。

  • 譲渡損失が生じた年の翌年以降の確定申告において、「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」、「申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除用)」を添付せずに確定申告書を提出してしまっている。
  • 特定口座(源泉徴収あり)で運用しており、かつ、譲渡損失が生じた年の確定申告書を既に提出してしまっている。

解説

上場株式に係る譲渡損失の繰越控除を適用するためには、下記の手続きが必要になります。

  1. 譲渡損失が生じた年の確定申告において、確定申告書とともに、添付書類として「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」、「申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除用)」を提出すること。
  2. 譲渡損失が生じた年の翌年以降の確定申告において、確定申告書とともに、添付書類として「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」、「申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算および繰越控除用)」を連続して提出し続けること。

譲渡損失が生じた年の確定申告書には、期限後申告書も含まれるとされております(所得税法第2条1項37号、租税特別措置法第2条1項10号)。よって期限後申告書であっても上記添付書類を提出することで上記1.の要件を満たせることになります。

一方で、上記2.の要件として、譲渡損失が生じた年の翌年以降の確定申告において、上記添付書類を添付した確定申告書を連続して提出し続けることが必要になりますが、逆にいえば、上記添付書類を添付していない確定申告書を提出していた場合には、この連続して提出し続けることの要件を満たさないことになります(租税特別措置法第37条の12の2⑦)。よって、翌年の確定申告書を上記添付書類を添付せずに提出してしまっている場合には、繰越控除の適用を受けることが出来ません。

また特定口座(源泉徴収あり)で運用しており、かつ、譲渡損失が生じた年の確定申告書を既に提出してしまっている場合には、納税者が申告不要を選択したものとして処理されていることから、譲渡損失の繰越控除を適用することができません。